記念すべき第10回目の”ピアプロ補完計画”は、アルバム『かんきり』収録の『君と僕のブルース』。
かんきり
ボカロ曲でブルースって、あんま聴かなくありませんか?
最近の事情はよく知りませんが、不肖Chiquewaがボカロを始めた2008年当初は「ボカロ界隈(オタク界隈?)とブラックミュージックは相性が悪い」なんて言われてました。私自身、このような事を少なくとも数回は言われた覚えがありますし。
何故、ボカロとブラックミュージックは相性が悪いのか?
恐らく多くのリスナーやトラックメイカー自身が指摘されてるとは思いますが、ブラックミュージック(歌モノ)ってのは基本的に「歌で持っていく音楽」だからではないか?と。
乱暴に言えば、トラック(オケ)には大して比重が置かれてなく、歌さえあればそれでよくて、もういっそアカペラ(歌だけ)でもいい・・みたいな音楽だからだと思います。実際、ブラックミュージックにはアカペラグループも多いですしね。
【アカペラ】Ooo Baby Baby - スモーキー・ロビンソン&ザ・ミラクルズ
アカペラグループじゃないけど…好きなので
だから、R&Bやヒップホップなどのトラックはリズム中心のシンプルなものが多く、ゴチャゴチャとしてません。「トラックは上に乗るボーカルやMCが重要なので、それを引き立てる役割さえ果たせればいい」と考えてるからでしょうかね。
一方ボカロは、どちらかと言えば「オケで持っていく音楽」が多い気がします。
まぁそりゃボカロですから表現力には限りがありますし・・だがそこがいい!拙い感じが萌えるんだよ!!
さてこの曲ですが、ブラックミュージックの最右翼である ”ブルース” です。
ブルースにも色々種類があるんですが、この曲はその中でもまだ聴きやすい/取っ付きやすい部類に入る「アーバンブルース」に近いですかね。
B.B.キングとかがやってた、ブラスなどが派手に入ったR&B一歩手前のブルースです。
【アーバンブルース参考】B.B.キング
ちょっと長いけど、B.B.キングの1993年のスイス・モントルーでのライブ
最高にゴキゲンなので観てみよう!(動画を探しながら全部観ちゃった…part3まであります)
ブルースの基本形は12小節。コード進行を書くと
「 1 - 4 - 1 - 1 - 4 - 4 - 1 - 1 - 5 - 4 - 1 - 5 」(数字は度数)
なんですが、これはあくまでも基本形でジャズと同じく入れ替えたり分解したり色々弄くり回すことも多く、1950年代にはすでに弄られ尽くして原形を留めていません。
この曲ももちろん弄くり回したコード進行だし、更にもはや12小節進行ではない部分(ブリッジ)もあります。
ブルースは自由なんです。
音楽は自由なんです。
【ブルース参考】Me and the Devil Blues - ロバート・ジョンソン
悪魔に魂を売った男・ロバートジョンソンの曲。
「凄いミュージシャンは27歳で死ぬ」という伝説の”27Club”の第一人目でもあります
歌詞ですが、コレもまた”ブルース”ですね。
”おいで ほら そんな顔しないで
笑ってよ いつもみたいに
聴かせてよ Baby 君の中のブルース
悲しいと泣いてるばかりじゃ
いつまでも苦しいだけさ
歌ってよ Baby 君だけのブルース
出逢って別れて また出逢って
繰り返して僕らは強くなれる
今はただ二人で描いた
想い出を胸に刻んで
歌おうよ Baby 君とボクのブルース
素晴らしい時はいつか過ぎ去り
また当たり前の日常に帰る
やるせないこともあるけど
君はもう 大丈夫 きっと
ハレルヤ! Baby 人生は続くよ
歌おうよ Baby 君とボクのブルース”
大昔のブルースと言えば、「あー、仕事が嫌だなー」とか「あいつ(女性)は去っちまったー」とか、生きていく上でよくある辛いことを歌詞にしたものばかりでした。ま、Bluesってくらいですから。あと、当時の(アメリカ)黒人を取り巻く環境とかにも起因します。
時代が変わって、世界中のあらゆる人種・性別・年齢の人達が”ブルース”を歌うようになると、内容もまた少し変わってきます。
で、この曲は…まぁ…「日本人のブルース」、でしょうかね?
日本のブルースというと「ブルースの女王」こと 淡谷のり子先生 の歌が浮かびますが、あれもブルース。そしてコレもブルース。ブルーな気持ちを表現すれば、何でもそれがブルースなのです。
【日本のブルース】別れのブルース - 淡谷のり子
淡谷のり子先生の大ヒットブルース。
ブルースってよりほぼジャズ曲。作曲はジャズピアニストでもある服部良一先生だ。
いやぁ、ブルースは素敵ですね。
(ブラックミュージックになると話が長くなります。スミマセン)
じゃ。
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