先日親父さんが「エエモン見せたる」と言うので行ってみると、小さく可愛らしい「蓄音機」がちょこりんと置かれてました。
外観(写真=左)と、フタを開けたところ(写真=右)
・・つまり、「占領下の日本製」。("日本コロンビア" 製?)
調べてみると、終戦後・1947年~1952年の5年間に日本で製造された製品は、GHQ統治下では「Made in Japan」と書くことを許されず、こう書か(され)ていたそうだ。
祖父が購入した物だそうで、当時の日本はまだ貧しく学校にも蓄音機なんて無くて、よく運動会や音楽鑑賞会などに貸してあげてたそうです。
そしてコイツ、今でもちゃんと動くんだな。
ただし「SP盤」と呼ばれる78回転のレコードのみしか再生できません。
当時はまだ33回転の「LP盤」や、45回転の「ドーナツ盤」は一般的じゃなかったらしい。
さっそく実際に動かしてみました。
動かすには、本体横の穴にハンドルを差し込んで「ゼンマイ」を巻き(一回巻くと一曲分らしい)、あとは普通のレコードプレーヤーと同じく「アーム」を動かしてレコード盤に「針」を置くだけ。
ちゃんと鳴る鳴る。
電気的な仕組みは皆無で、完全な「アナログ機械式」。
もちろんアンプも無いので、音は本体のどこからか鳴り響いてます。この箱自体が増幅装置みたいな役割を果たしてるのかな。よく分からん。
もちろんノイズは多いけど、思ったよりも音が良くて驚いた。
ターンテーブルの動力がゼンマイなので、親父さんは「もうちゃんと回らんのちゃうかな?」と言ってたけど、ちゃんと回ってます。回転も安定してるし、回転数のブレもあまり感じません。
モード切り替えレバー(写真=左)と、スピード調節レバー(写真=右)。
レコードが最後まで行くと、自動的に回転が止まる設定も出来ます。スピードがおかしい時は調節も出来るし、機能が結構充実してる。
お次は「レコード」ね。
家に残ってたのは大半が洋楽で、ラテンオーケストラの大御所 "ザビア・クガート楽団" とか、不肖Chiquewaが昔アメリカまで会いに行ったこともあるカントリーギターの名手 "レス・ポール" など、当時(1950年代)の人気の音楽が色々ありました。
レス・ポール with メアリー・フォードの "Mockin' Bird Hill" (写真=左)と、ザビア・クガート楽団の "Mambo Negro"(写真=右)のSP盤。ケースやジャケットは無くて、紙袋に入ってるだけだ。
最近は超高音質な "HDオーディオ" などのスゴい技術があるけど、一部ではまだアナログレコードも人気だったりするね。
子供の頃はまだ「CD」が出始めの頃のアナログレコード時代で、好きな曲をただ聴くだけでもかなり面倒でした。
「CD」や「MP3」って簡単に再生できて便利だし、ノイズも無いし、音も良いし、あと自分自身もフルデジタル環境で音楽制作をしてるし「デジタル大歓迎」なんだけど、こうしてフルアナログな蓄音機でレコードを聴いてみると、「音の臨場感や迫力」なんか皆無で、ノイズも多くて、悪いことばかり・・・ってワケでもないんだな。
レコードやCDに「目の前で演奏してるような臨場感溢れて、迫力があって、鮮明でクリアな音」というのを求めるのは「正しい」とは思うけど、個人的にはそれが全てだとは思わない。
「レコーディングされた音楽」という芸術作品は、その時代の再生機器で良く聴こえるように作られたワケだし、リマスタリングされたCDで聴くのとはまた違ってなかなか良いもんです。
針も消耗品だから(今でも買えるけど)毎日コレで音楽を聴くわけじゃなく、ノスタルジーを楽しむ程度だけどね。
機会があれば聴いてみるといいさ。
じゃ。
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