日に日に気温は上がり、桃の莟は色づきはじめ、遠くからは拙い鶯の初音が聞こえ、菜の花の香りが風に乗って鼻をくすぐり、春の到来を感じずにはいられない今日この頃。
これまでは「朝カーテンを開けた時の窓の結露具合」や「裸足で廊下を歩いた時の感覚」などで春を感じていましたが、よく外出するようになると春の訪れを五感で感じられるようになり、これはなかなか良いもんなのです。
山道の入口まで約15kmの軽い峠道を含む道のりを走り、そこから斜度10%前後・距離約6〜8kmの山道を自転車で登って行きます。
山道に入るとすぐに木々に囲まれた森の世界が広がり、「最初にこの道を作ったのは一体どんな人なんだろ?」なんて疑問を頭に巡らせながら、せっせとペダルを回すのです。
整備されてる自転車は走行音がとても小さく、漕いでる時に聞こえる音は「チェーンが回る音」と「タイヤが地面を蹴る音」くらい。あとはグッと力を入れた時にハンドルやペダルなどが軋む音が少しするけど、どれも小さな音。
だから、周りの音…環境音がとてもよく聞こえます。
その上自転車にはエンジンが付いてないので、停車するとその瞬間から”環境音のみの世界”になるわけです。
風の無い日だと、心音や血流の音が一番大きく聞こえる時もあるほど。
そして、そのまま耳を澄ますと色んな音が耳に入ってきます。
動物が歩いた時に落ち葉を踏む音。遠くで鳴く鳥の声。遥か上空で響く風の音。
悲しいかな常に人工音に包まれた環境で生活してると、こういう状況は逆に落ち着かなかったり。
こんな時はふと、ジプシーギターの名手ジャンゴ・ラインハルトがデューク・エリントンだったかのバンドに参加するために訪米した際に、ホテルが静か過ぎて落ち着かないので川のせせらぎ代わりに浴室で水を出しっぱなしにして寝たという話を思い出します。
状況としては真逆ですが。
「こんな環境で曲を作ったら、どんな音が出来るんかな?」
・・などとセンチメンタルに浸る余裕もなく、目前にそびえ立つ坂道を相手にまたペダルを踏むのです。
じゃ。
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